2007年05月19日

円仁展関連行事 第二回 記念講演会

5月19日に2回目の記念講演会を行いました。講演してくださったのは、前在中国日本国大使夫人の阿南・ヴァージニア・史代氏で、「円仁中国巡礼の跡を往く」というタイトルでお話していただきました。
阿南さんは前日本国大使とともに、12年間、3度にわたり中国に滞在されていて、円仁の中国巡礼日記『入唐求法巡礼行記(ニットウグホウジュンレイコウキ)』を片手に、円仁の歩いた道のりを探ってこられました。
ご講演は、円仁の日記をたんねんに読み込んで、その道のりをたどっていらっしゃる阿南さんならではの、円仁の旅路や人柄にせまる内容でした。私は展覧会の準備で円仁の日記を何十回となく読んでいますが、実際に中国を歩かれた体験に基づくお話を聞いていて、円仁が巡礼した唐時代の風景が鮮やかに目に浮かぶようでした。
またご講演の後、お客さんからの質問に答えるフリートークの時間も作っていただきました。その時阿南さんが「これからは点だけでなく線で円仁の足跡を追いたい」とおっしゃっていたのが印象的でした。「点」とは揚州や西安(長安)などの円仁が滞在した町などを指し、「線」とはその間の円仁が歩いた道のりのことです。「点」である町などはどんどん発展していくので、なかなか円仁が過ごした唐の面影を探すのは難しい。でも「線」を丁寧にたどっていけば唐時代の石柱や石畳など、面影を感じられる場所が残っている、とのことでした。阿南さんの旅路はまだまだ続くようです。(学芸部 入江)

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投稿者 : 人文課 | カテゴリー : 特別企画展「慈覚大師 円仁とその名宝」