学芸員とっておき講座「顕微鏡で見るキノコの世界」を開催しました。

毎月第3日曜日は県博デー!

8月21日(日)、とっておき講座「顕微鏡で見るキノコの世界」を開催しました。
当館の菌類担当、山本航平学芸員によるお話です。

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まずは、キノコってなんだろう。

キノコは動物に近い生き物なんです!
お店でシイタケやエノキタケなどのキノコは野菜売り場にあることが多いので、植物に近いのかと思うかもしれません。
しかし、DNAの研究から植物よりも動物に近い生き物ということがわかりました。

名もなきキノコがたくさんあります!
キノコはカビや酵母と同じ菌類の仲間です。菌類は150万種といわれていますが、名前がついているものはたったの10万種。
名前がついていないものがたくさんあるので、新種発見のチャンスかもしれません。

次は顕微鏡の世界へご案内。

キノコは胞子を顕微鏡で見ることが大事です。胞子はキノコのタネのようなものですが、肉眼では見えません。
そこで顕微鏡の出番。

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見た目は同じように見えるキノコでも、顕微鏡でその胞子を見ると、胞子の形が全然違うのです。
反対に、外見はキノコとカビで違うのに、胞子の形が同じ形をしていたのでDNAを調べたら同じ種であったということも。
これは山本学芸員の研究によるものです。

また、キノコがどんな生活をしているか知ることができます。
胞子から発芽して菌糸を伸ばして大きくなっていくのですが、その菌糸を木の根に伸ばして、共生するキノコ(菌根菌)がいます。顕微鏡で、その菌糸が木の根にぐるぐる巻きついている様子や細胞は壊さずに根の中に入り込んでいる様子などを見ることができます。
顕微鏡ってすごい!

最後に、山本学芸員がお隣の中央公園で採集してきた、アセタケの仲間やセミノハリセンボンを実体顕微鏡で観察しました。
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今回採集したアセタケの仲間は小さくて指先くらいの大きさしかなかったのですが、顕微鏡でみると傘の裏側のヒダもはっきり見えて、今回はいませんでしたが、ヒダの間にいるダニも見えるそうです。
セミノハリセンボンは冬虫夏草の仲間で、セミに寄生するキノコ。セミの目の周りや羽の脈に沿って、小さなキノコがハリセンボンのようにたくさん生えている様子がハッキリと見えました。

キノコに限らず、身近なものを顕微鏡で見てみると、肉眼で見ているときと違う姿を見ることができるので、ぜひ顕微鏡をのぞいてみてほしい、と山本学芸員。
そんな山本学芸員も、子育ての合間に顕微鏡をのぞいて一息つくそうです。
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ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。

9月、10月の県博デーはお休みです。
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開館40周年記念特別企画展「鑑真和上と下野薬師寺~天下三戒壇でつながる信仰の場~」が、9月17日(土)から始まります。
みなさまのご来館をお待ちしています♪

(自然課 猪狩)