民俗資料撮影の”裏側”見せます!(「箕作り」(製作)編)

民俗資料のデジタルコンテンツ化事業に関して・・・

前回の「箕作り」前編(材料の採集と加工)に続いて、
今回は、後編(製作)についてご紹介します。
(前回ご案内しましたが、(使い方)については次回ご紹介します)

職人さんは、箕の製作に向けて、多くの手間ひまをかけ、箕の材料を採集・加工し備えてきました。
これまでも職人さんの技を目の当たりにしてきましたが、ここからまた素晴らしい技がたくさん
披露されます。

背後で見守るみーちゃんにも注目!
まずは、箕の製作にあたり、加工し終え保管していた材料の一つ、ヒゴを水につけながら揉みます。
作業をしている奥様の後ろの切り株をよく見ると、猫のみーちゃんが…
こっそり応援です。(でも撮影は、みーちゃんをよけるのが大変でした)

職人芸の始まり!
箕の中心に弓(フジ皮を張るための平らな棒)を置き、しなりやすくなったヒゴを
上下交互にさしこみ、並べます。
「ヒゴならべ」と呼ばれる作業です。
見ていると楽しいくらいに、どんどん並べられていきます。

箕の中心となる部分
でも、この段階の状態を見ると、とても自分にはできそうもありません。
まだまだ、ここからですが、すでに美しい骨組みです。

これが編み込まれます
フジの皮も水につけておいて、扱いやすくします。


職人さんは気にせず集中してください…
フジ皮は、編みこむ前にもう一度、茎から剥(は)いだ時についた焦げを取り、また凹凸を整えます。
職人さんの手元を撮影するために、このように近くまで寄って撮影もさせていただきました。

柔らかい素材も整然と編まれていきます
ヒゴの骨組みを中心として、端に向かい、フジを編みこんでいきます。


出来上がるに従い形が見えてきます
竹ヒゴを1本とばしで上下に分け、その間にフジ皮を差し込みます。
平たい棒で叩き込みながら、きつくしめていきます。

イタミの一部分
弓の両側を編み終わると、折り立て部分となるアジロ(三角形の部分)を編み、弓を取り外し、
イタミ(箕の原型)の完成です。
ここから、折り立てて箕の形を作っていきます。


メのつめ方や、ヒゴの表裏にも注目!!
ウデギ(持ち手)をフジの芯紐でくくりつけ、箕の底面の両角に補強のフジ(スマと呼ぶ)を挟み込み、
その他を整えると箕の完成です。
この精緻なメのつめ方、フジ皮の揃い方など、とても美しい実用品の1つです。

しかも、実は、ヒゴの編み込み方にもこだわっていて、
手元の方は物がひっかかりやすいように裏を出して、
先の方には、滑りやすいように表を出して編み込んでいます!


前回(「箕作り」(材料の採集と加工)編)では、近日中に公開としていましたが、
期間が開いてしまいまして申し訳ありません。

この間に、当館では春季企画展「つくる、えがく、しるす‐歴史からの贈り物‐」が始まりました。
(平成22年4月24日(火)~同年6月15日(火)まで)

この企画展は、当館人文系の全分野、美術工芸、歴史(中世・近世・近現代)、考古、民俗が、
上記のテーマに沿って、それぞれの視点から展示をしていて、
民俗分野では、「栃木ゆかりの手仕事」を主テーマとし、職人技がひかる品々をご紹介しています。
本展示では、特に職人さん達の多大なご協力を得ており、
ここで取り上げた箕作りの職人さん作の箕も展示中です。


他の分野も含めて、まとめて、しかも近くでじっくりとは
なかなか見ることのできない資料がそろっています。
また、美術工芸と民俗分野では展示替えも行ないました。


ぜひ、当館に足をお運びになり、様々な視点からの“歴史からの贈り物”を受け取ってください!


企画展の関連講座も紹介する予定です。
展示とともに、ブログもぜひ楽しんでください。


                                                   (人文課 宮田)