第141回企画展 「外来生物~人によって運ばれた生き物たちからのメッセージ~」が、
4月26日(土)から始まりました。
オープン初日、担当学芸員による展示解説を行いました。
伝えたいことがたくさんあって、つい語りすぎてしまう4人の学芸員。
展示解説の予定時間は14時~15時。1時間におさまるでしょうか。
無脊椎動物担当の南谷学芸員の登場です。
まずは、外来生物とはなにかを知ってほしい。
外来生物は、もともとその地域にいなかったが、人の活動によって他の地域から持ち込まれた
生き物です。
外来生物ときくと、なんだか悪者と思ってしまいますが、実は恩恵を受けていることも多く、
お米や野菜、肉といった食料、ネコやイヌなどのペットと、身の回りにたくさんの外来生物がいます。
そして、野生化してしまった外来生物がもたらす、毒やトゲによる人の体への影響や農作物を
食べてしまうなどの人の暮らしへの影響、在来生物とすみかや食べ物を奪いあうといった生態系への
影響について、ギュギュギュっと30分でご案内しました。
続いて、「とちぎの外来生物」です。
ほ乳類や鳥類、昆虫、植物といった分類群ごとに、栃木県で野生化している外来生物を、各分野の担当が解説しました。
植物担当の星学芸員からは、水路を覆うオオフサモなどの水草や道ばたでよく見かけるナガミヒナゲシなどの外来植物とともに、国内外来生物の話がありました。白根山のコマクサは、人が外から持ち込んで植えてしまったと考えられています。国内であっても、生態系にどんな影響を与えるかわからないものをほかの地域から持ち込んで安易に植えてはいけません。
脊椎動物担当の小笠原学芸員からは国内外来生物の話がありました。
ギンブナは、県内に生息している在来魚です。しかし、ギンブナが生息していなかった那須塩原市の大沼に持ち込まれたことで、もともと生息していたクロサンショウウオやモリアオガエルの卵や幼体が食べられるなどの悪影響が出ています。
チュウゴクアミガサハゴロモ、カタビロシンジュクチカクシゾウムシと、どんどん新しい外来の昆虫が入ってきています、と昆虫担当の栗原学芸員。
ガラスケースの中に、竹ぼうきが展示されています。
これは、外来生物のムネアカハラビロカマキリの卵つき竹ぼうき。
外来生物はこのように入ってくることもあるのですね。
続いて、キョンなどのもうすぐ栃木県にやって来るかもしれない外来生物や、栃木県で行われている外来生物の駆除活動をいくつか紹介しました。
私たちのつきあい方によって、恩恵にも脅威にもなる外来生物。
人が連れてきた外来生物を悪者にしないために、外来生物をよく知って、
捨てたり増やしたり拡げたりしないようにしましょう。
15時ピッタリ!
駆け足ではありましたが、15名の方が熱心に聞いてくださいました。ありがとうございました。
企画展「外来生物~人によって運ばれた生き物たちからのメッセージ~」をご覧いただき、
外来生物のことを知って、外来生物とのつきあい方を考えるきっかけにしていただけたらと思います。
展示は、6月15日(日)までです。
ご来館をお待ちしています。
*企画展関連イベント
・シンポジウム「栃木県の外来生物対策」
【基調講演】講師:苅部治紀氏(神奈川県立生命の星・地球博物館主任学芸員)
事例紹介 県・市・市民団体による県内の外来生物対策事例の紹介
5月31日(土)10:00~16:00 当館講堂
*要予約 定員:150名
・学芸員による展示解説 当館展示室2
6月8日(日)14:00~15:00
*要観覧料
*企画展のほかにも楽しい展示がありますよ。
・テーマ展「地層の剥ぎ取り標本って、おもしろい!」(6/15まで)
・テーマ展「とちぎの昔ばなし~弓の名手那須与一と九尾のきつね玉藻前~」(6/15まで)
ぜひ、足をお運びください。
(自然課 猪狩)
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