講演会「宝石の魅力を科学する ~なぜダイアモンドはキレイに見えるのか~」を開催しました

10月30日(土)に、講演会「宝石の魅力を科学する ~なぜダイアモンドはキレイに見えるのか~」を開催しました。この講演会は、元々、夏の第130回企画展「鉱物と宝石の教室」の記念講演会として8月8日に開催される予定でしたが、栃木県の緊急事態宣言発令に伴い当館が休館となったため中止となりました。しかし、第130回企画展終了後にも関わらず、本講演会の講師である日独宝石研究所所長の古屋正貴氏のご厚意により開催が実現しました。本講演会の開催の周知は10月に入って始まりましたが、当日参加を含めて84名の方々のご参加をいただきました。受付では、古屋氏が用意した講演会のレジュメや3Dメガネが配られたほか、机の上に置かれたA~Dの4つのカットルビーがどの順で価値が高いのかというクイズが用意されており、受付を済ませた方々がまじまじと観察してその答えを予想していました。講演会は当館講堂で換気のために扉を開放したままで行われ、参加者にはグループごとに間隔を空けた着席をお願いしました。

当館岩石・鉱物分野担当の吉田学芸員が司会を務め、講演会に先立って、近藤館長から挨拶がありました。

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その後、古屋氏の講演が始まり、宝石学の歴史や宝石の三要素(美しさ・耐久性・希少性)、ダイアモンドの美しさの理由について詳しく説明がありました。

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宝石学の紹介の中で、ルビーには天然ルビー、処理を加えた天然ルビー、合成ルビー、模造石があることが説明され、それぞれ受付に用意されていたA~Dのルビーに該当することが明かされると、見分けのつかなさに驚きの声が上がっていました。途中の休憩では、古屋氏が新たな宝石を机に並べると、多くの参加者が見に集まり個別に古屋氏に質問していました。休憩後には、ダイアモンドの美しさの理由について、ダイアモンドの高い屈折率・分散度により特有の強く美しい輝きがもたらされ、さらに人間の目の錯覚によりダイアモンドが美しく映っていることが説明されました。両目で見える像が違うことから起こる錯覚について、3D画像のダイアモンドを見ることでわかりやすく体感できました。

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あっという間に、興味深い講演が終わってしまいましたが、その後の質疑応答でも年配の方から子供まで幅広い世代から質問があり、皆さんの宝石に対する関心の強さを感じました。講演会終了後も、多くの方々が古屋氏の宝石を眺めたり、古屋氏に直接質問をしたり余韻が冷めやらぬ様子でした。

(自然課 北野)