ミミズ学講座①-ミミズの生態と採集法-

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2017924日(木) 

表記の講座が博物館研修室にて行われ、小学生以下のお子さんから大人の方まで、19名の皆様が参加されました。

まず、ミミズの基礎知識に関して、写真と実物標本などを交えて説明がありました。

いくつかの質問が投げかけられました。あなたはお分かりになりますか? 解答は途中にあります。

 Q1 栃木県内に生息するミミズの種類数は?

   1、5,10,30、100のどれに近いでしょうか。

 Q2 普通のミミズには毛が生えているでしょうか?

Q3 大きなミミズはどのくらいの長さになるでしょうか?

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(研修室で説明中)

ミミズにはいわゆる眼はないこと、両性具有(卵も精子もつくる)であること、交接(ミミズの生殖器は頭に近い所にありますので、「交尾」ではなく「交接」と言います。)二個体が互いに精子をやり取りすること、生息している土壌の深さや食べ物で3つの型にわけられることなど、ミミズについて、またその不思議な生活について楽しく学びました。その後、採集法の説明があり、博物館から外に出ていきました。

 まず最初に、マスタード法とよばれている方法で、ミミズを採集しました。水に粉からしを溶いてミミズの穴に注ぎ込み、嫌がって外に出てくるところを採集します。この方法では地中性の種類が採集できます。

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(ミミズが出てくるか興味津々です。)

Answer

 1 30 (現在までに栃木県では29種が記録されています。)

 2 生えています。(貧毛類に属しますが、体表に短い毛が生えています。)

 3 日本産の最大のものは92㎝、世界最大のものは2m90㎝に達するそうです。


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ミミズの体についたからしを洗っています。

次に場所を変えて、50センチ四方の枠を土の上に設定し、その範囲からミミズを採集するコドラート法を、学芸員が実際にやっているところを皆さんに見てもらいました。これは実際の研究で定量調査を行う方法です。

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最後に林の中に入り、見つけ捕り法でミミズの採集を行いました。

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採集したミミズは、湿らせておいたミズゴケを入れた容器に入れておきます。全員がたくさんのミミズを採集できたので、それを持って再び研修室に戻りました。合計で4種類(フトスジミミズ、ヘンイセイミミズ、ヒナフトミミズ、アオキミミズ)61個体を採集できました。ミミズに関して今日得た知識を、採集した実物のミミズで、背、腹面、頭、尾、表層性種と地中性種の体形の違いなどを観察しました。IMGP6998_R.JPG

いったん解散となり、質疑応答の時間となりました。

 休憩の後、ご希望の方を対象に、生きているミミズから標本を作成する方法が説明されました。このときも、だいぶ多くの皆様が最後まで熱心に参加されていました。


ミミズ講座の②は2017930日に実施される予定です。皆様のご参加をお待ちいたしております。

       (自然課 浅羽記)