「名前に"日光"がつく動植物」展レポート(その3)

「名前に"日光"がつく動植物」展、会期は残すところ10日程となりました。

まだ展示をご覧になっていない方、もったいない!

日光にまつわる動植物のことがコンパクトにわかるチャンスです。ぜひ御来館ください。

3回目は脊椎動物担当の林より、「ニッコウサンショウウオ」、もとい、「クロサンショウウオ」の紹介です。

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"ニッコウサンショウウオ"という名前を聞いたことはありませんか?

「最近聞かなくなったなあ」という方もいるのでは・・・

"ニッコウサンショウウオ"という名前は、戦場ヶ原の湯川で捕れたサンショウウオにつけられた名前です。明治から昭和初期に活躍した動物学者田子勝彌が、そのサンショウウオを1907年(明治40年)に新種として発表した時につけました。

ところが、同じ年に、アメリカの爬虫両生類学者レオナルド・シュタイネガーが、仙台産の標本に基づいて新種のサンショウウオを発表しました。このサンショウウオの学名ヒノビウス・ニグレスケンスは、"黒いサンショウウオ"という意味なので"クロサンショウウオ"と呼ばれるようになりました。

 その後、"ニッコウサンショウウオ"と"クロサンショウウオ"は同じ種であることがわかり、"クロサンショウウオ"の方が少し早く発表されていたので、それが正式な名前(和名)になりました。

というわけで、栃木県の人としてはちょっと残念ですが、"ニッコウサンショウウオ"という名前は現在では使われなくなってしまったわけです。

 でも、明治時代の研究者が書いた文章を読むと、「日光には、どんなサンショウウオがいるんだろう」「自分が調べて、明らかにしてやるぞ」という意気込みが満ち満ちていて、学問の黎明期の勢いが感じられます。

池田作次郎という人は、中禅寺湖で捕ったサンショウウオの卵(卵嚢)を桶に入れ、いろは坂を歩いて下る途中でひっくり返してしまい、また捕りに戻った、なんていうエピソードも書き記しています。

「名前に"日光"がつく動植物」展では、動植物の展示だけでなく、日光の動植物を調べた人たちのエピソードも紹介しています。ぜひご覧ください。