県立博物館考古担当ブログ(修一&秀一の活動記録)

今年度から考古部門の活動記録を不定期にアップします。よろしくお願いします。
とりあえず、4月前半の活動の紹介を。

4月1日 上野修一学芸員(特別研究員)が15年ぶりに県立博物館の考古担当に復帰しました。上野学芸員は展示では古墳から奈良・平安時代を担当しますが、研究の専門は縄文時代の祭祀遺物や縄文時代の交流・交易です。なかでも後期のハート形土偶や山形土偶の研究、硬玉製大珠の研究は全国的にも知られています。(秀)

4月9日 両名で、しもつけ・なす風土記の丘資料館との共催事業である巡回展「栃木の遺跡」の資料借用で茂木町教育委員会に出張。
 途中、大洞C2式期の竪穴住居跡から寺脇型結合式釣針が出土した茂木町九石古宿(さざらしふるじゅく)遺跡の現地踏査を行いました。時節柄、作付準備のために畑の多くが耕された直後で、遺物が散乱していました。近隣の農家に一言声をかけて遺物を拾う。称名寺式から堀之内式を中心とした時期の土器片、ハート形土偶の脚部、土製円盤、不定形の敲石、石鏃(矢じり)、玉髄の剥片などを採集。これらの資料は栃木県石器時代文化研究会(アエスクルス)の会誌に、早速紹介する予定です。
 午後は、日本考古学協会会員の中村信博氏のご協力を得て、茂木町中根遺跡の旧石器時代の遺物確認と、町教委への資料借用・写真提供依頼を行いました。
 なお、巡回展「栃木の遺跡」は、しもつけ風土記の丘資料館(4月19日~6月15日)、栃木県立博物館(7月19日~8月31日)、なす風土記の丘資料館(1月31日~3月5日)の3館で開催されます。ぜひご来場ください。(修・秀)

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九石古宿遺跡の案内板


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遺跡の現況


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主な採集遺物


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中根遺跡出土遺物調査風景

4月18日 昨日までに作成した巡回展の写真・解説パネルを、しもつけ風土記の丘資料館へ届ける。帰路、西方町教育委員会へ立ち寄り、分布調査で新たに発見された元屋敷遺跡(西方町真名子)出土の弥生式土器、白山神社遺跡出土の古式土師器を借用しました。今後、調査研究協力員の協力を得て復元・実測の予定。(修・秀)