![]() 上田遺跡採集の土版(個人蔵) |
人文系テーマ展姿川村の遺物語り |
展示主旨
栃木県宇都宮市姿川地区は、昭和30(1955)年まで姿川村とよばれていました。姿川地区には多くの遺跡が残されており、出土する遺物から過去の人間活動の様子をしのぶことができます。
これらの遺跡を広く調べ歩き、栃木県の考古学に足跡を残した先人の一人に、野澤岩蔵(1890-1963)がいます。岩蔵は学校の教員を勤めながら、ほぼ独学で考古学を学び、姿川地区とその周辺の遺跡を歩いて総数1万点余りにおよぶ考古資料を拾い集め、詳細な記録とともに保存しました。そして、版画を活用した独自の教材を制作するなど成果を教育に反映させたほか、近隣の考古研究者と交流を深め、郷土史家としても幅広く活動しました。発掘調査が少なかった当時にあって、岩蔵の採集した資料は姿川地区の遺跡の様相がうかがえる貴重なものとして評価され、昭和35(1960)年より宇都宮市指定文化財となりました。
当館ではこのたび、岩蔵の残した教材や記録類の寄贈を受けました。そこで、野澤の採集した資料と合わせて「野澤岩蔵コレクション」として展示し、岩蔵の事蹟や姿川地区の遺跡とともにご紹介いたします。姿川村から出土した物言わぬ遺物(モノ)が語り出す、野澤岩蔵の歩んだ考古学の世界を、ぜひご覧下さい。
展示構成
はじめに 積まれた収納箱[展示資料]野澤岩蔵の収納箱
第1章 「田舎周り」の教員生活
第1節 教員生活と郷土教育
[展示資料]『藻塩草』、『郷土 土石器から見た郷土』など
第2節 『村の版画』への参加
[展示資料]野澤岩蔵画 石器、川上澄生画 静物など
第2章 考古学との出会い
第1節 「石拾い先生」
[展示資料]『採集記』、『下野史談』投稿原稿、考古遺物スケッチ・拓本など
第2節 野澤岩蔵の歩いた遺跡
[展示資料]宇都宮市石川坪遺跡採集資料、宇都宮市天狗原遺跡採集資料、宇都宮市江曽島嘶遺跡採集資料
宇都宮市初網遺跡採集資料、宇都宮市赤土山遺跡採集資料、宇都宮市厩久保遺跡採集資料
壬生町上田遺跡採集資料、(いずれも宇都宮市指定文化財)など
第3章 村の考古学者として
第1節 戦争と野澤岩蔵
[展示資料]日記、『偲ぶ草』
第2節 村の考古学者として
[展示資料]『関東先史考古図譜』、『姿川村史』
おわりに 野澤岩蔵の遺したもの
[展示資料]石川坪遺跡出土顔面付土板
主な展示資料
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| 野澤岩蔵画「石器」(当館蔵) | 石川坪遺跡採集の注口土器(個人蔵) |
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| 上田遺跡採集の土版(個人蔵) | 野澤岩蔵『関東先史考古図譜』より 「土製品図」(当館蔵) |
関連行事
■担当学芸員による展示解説日時:令和8年1月10日(土曜日)14時00分~15時00分
場所:展示室2
定員:20名
※参加費は無料ですが、館内を観覧するので、別途観覧料が必要です。
■担当学芸員によるとっておき講座
日時:令和8年1月18日(日曜日)13時30分~15時00分
場所:講堂
定員:150名
講師:河原智紀(当館学芸員)

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